スピリチュアリズムの「霊魂論」のポイント

スピリチュアリズムの霊魂論は、複数の高級霊たちによってもたらされた霊的知識の集積であり、それらを整理・総合化したものです。スピリチュアリズムの「霊魂論」のポイントを整理すると、次のようになります。

①人間を取り巻く世界は、物質界と霊界（死後の世界）に分けられる。「霊界」という別次元の世界が実在する。

②人間は“死”によって肉体は滅ぶことになるが、「霊的身体（霊体）」を持って霊界での生活を始めるようになる。霊界こそが人間にとっての本来の生活場所であり、ここで人間は永遠に生き続けることになる。それに対し地上世界は、どこまでも一時的な生活場所にすぎない。（＊人間は「霊界」でただ単に生き続けるのではなく、「霊的成長」を目的として永遠の人生を送ることになる。）

③永遠の生活場所である霊界には、地上から来た人間の霊（人霊）以外に、天使や妖精といった無数の霊的存在がいる。人間の霊は、それぞれの「霊的成長度」に応じた界層で生活するようになり、霊性のレベルによって厳格に住み分けがなされている。霊界にいる人霊は、霊性の未熟な者から高度に進化した者まで、さまざまである。すなわち霊界には、低級霊から高級霊に至る無数の「霊性レベル」の人霊が存在している。

④霊界の存在者（人霊・天使・妖精）は、地上人に対してさまざまな働きかけをしており、何らかの霊的関係を持っている。そうした働きかけの一つが「心霊現象」や「神秘現象」の演出である。ただし霊界から地上界への働きかけは、必ずしも地上人にとって好ましいものであるとはかぎらない。時には有害なものもある。高級霊や善霊は常に地上人にとってプラスとなるように働きかける（＊「霊的成長」や「魂の癒し」などをもたらそうとする）が、低級霊はしばしば地上人にとって好ましくないもの・有害なものをもたらそうとする（＊不安や恐れを与えたり、肉体本能を刺激するなど）。

⑤地上人の中には、生まれつき「霊媒体質」という特殊性を持った人間がいる。“霊媒・シャーマン・チャネラー”と呼ばれてきた人間がそれである。こうした人間は、半物質の霊的エネルギーを霊に提供して心霊現象を現出させたり、霊と接触して情報を入手し、そのメッセージを伝えることができる。またトランス状態で、自分の肉体を一時的に霊に提供し、霊にメッセージを語らせることもできる。

⑥霊媒を通じてもたらされる霊界からのメッセージには、ピンからキリまである。悪意のない霊からのものを「霊界通信」と言い、スピリチュアリズムではこれを重要視している。高級霊からの霊界通信は、人類に真の霊的成長をもたらす“霊的宝”であり、まさに人類の遺産と呼ぶに相応しいものであるが、こうした優れて価値がある霊界通信はごく稀にしか存在しない。世間で広く見られる霊界通信には人類の霊的成長にプラスとなるような重要な情報はなく、そのほとんどは霊的価値を持っていない。

現代スピリチュアリズム（ハイレベル・スピリチュアリズム）は、ほんの一握りの優れた霊界通信を「霊的真理の基準・霊的成長の指針」としている。現代スピリチュアリズムは、優れた高級霊界通信を地球上に普及させ、その実践化を促すことによって地球人類全体の霊性を高めようとする「人類救済運動・人類の霊性向上運動」である。

⑦人間は“神”によって霊的存在として創造されている。すべての人間は「神の分霊」を真の自我として内在させている。この意味で万人は「神の子供」であり、神のもとにあって等しい霊的兄弟姉妹・霊的同胞である。地上の人間は、この内在している「神の分霊（霊）」を核として、「霊的心（霊的意識）」「霊体（霊的身体）」「肉的心（本能）」「肉体」の５つの構成要素から成り立っている。

⑧肉体に五感をはじめとするさまざまな肉体能力が与えられているように、霊体にも霊的感覚（霊視力・霊聴力・霊触覚・霊臭覚）やその他の霊体能力が備わっている。大半の地上人は肉体に遮られてこの霊体能力を発揮できないようになっているが、霊能体質者はその特殊性によって肉体を持ちながらも霊体能力の一部分を発揮できるようになっている。こうした人間が、地上では「霊能者・超能力者」と呼ばれることになる。

しかし本来的には誰もが「霊能力」を持っており、その意味からすれば地上人全員が霊能者としての素質を持っているということになる（＊「万人霊能者論・万人霊能潜在論」）。

⑨霊界からの働きかけは、しばしば地上の霊能者・霊媒を使用することによってなされる。一般的に心霊現象は、「霊（働きかけの主役）」「霊能者・霊媒（霊の道具・協力者・材料提供者）」「交霊会（現象が現出する場所）」という３つの要素（条件）が完備したときに実現することになる。この３つの要素それぞれに、さまざまなレベル差があるため、心霊現象には無限のバリエーションが発生することになる（＊心霊現象のバリエーションと多様性の発生）。

⑩人間が地上世界に誕生してくる目的は、霊界での永遠の生活に備えるためである。地上世界という訓練場での“霊的修行”によって、霊界での幸福を得ることが可能となる。地上人生での努力を通じて「霊的成長」を果たした人間（霊性を高めた人間）は、本当の意味での幸福者、地上人生の真の目的を達成した人間ということになる。

⑪地上人生における正しい霊的努力を通じて「霊的成長」がもたらされることになる。人間は霊的成長にともなって高い心境（霊的意識）を維持できるようになり、ますます価値ある霊的人生を歩むようになっていく。それにつれて高級霊との絆がいっそう強化されることになる。そうした「霊性」が向上していくプロセスの最中に、自然発生的に高次元の内面的な心霊現象が発生することがある。これまで神秘主義で言われてきた「神との合一体験（神秘体験・霊的エクスタシー体験・無我の境地）」とは、この心霊現象のことを指している。

すべての心霊現象を説明し尽くす、スピリチュアリズムの「霊魂論」

以上のようにスピリチュアリズムの霊魂論のポイントを述べてきました。このスピリチュアリズムの霊魂論によって、地球上に存在するすべての心霊現象・神秘体験についての説明が可能となります。これまで地球人類の間に存続してきたシャーマニズムと神秘主義思想・霊的信仰のすべてが、今述べたポイントの中に包括されます。また心霊現象や神秘体験が発生する霊的背景や、さまざまな心霊現象のメカニズムについても解明することができるようになります。

スピリチュアリズムは、まさに人類史上「最高の神秘主義思想・霊的信仰」であることが分かります。スピリチュアリズムは、文句なしに神秘主義の最高峰であり、集大成であると言えます。スピリチュアリズムの「霊魂論」は、完成した霊魂論であり、あらゆる心霊現象・神秘体験を包括・統合する「心霊理論」なのです。