内容的にピンからキリまでの「霊・霊能者・交霊会」

心霊現象が、３つの条件、あるいは霊能者という必須の条件のもとで引き起こされることが分かりましたが、実はこうしたそれぞれの条件は、内容的に常に一定というわけではありません。それどころか内容のレベルにおいて大きな違いがあるのです。

例えば１つ目の条件である「霊たち」について言えば、まず霊が高級霊か低級霊か、あるいは普通のレベルの霊かといった内容（霊性・霊格）の違いがあります。霊たちの霊性レベルには無数のランクがあり、ピンとキリではとてつもなく大きな差があります。高級霊がよいことは言うまでもありませんが、その高級霊にも個性や性格の違いがあり、忍耐力や知性の点でも一人一人異なっています。また霊によって、得意な現象分野と苦手な現象分野があります。一般的に言って高級霊は「物理的心霊現象」はあまり得意ではなく、自分の主宰する霊団の中の“未熟霊・低級霊”を道具として用いることになります。

ここでもう一つの重要な点は、“スピリチュアリズム”のような「人類全体の霊性啓発」といった重大な歴史的使命を持った場合には、霊界において多数の霊たちからなるグループ（霊団）を形成するということです。霊団の力を結集して「最高の心霊現象」を演出するためです。その際、霊団のメンバー間の協調性・調和度が、現象演出に決定的な影響をもたらすことになります。

心霊現象現出の２つ目の条件である「地上の霊能者」にも、ピンからキリまであります。高級霊の働きかけを受けるには、高い霊性の持ち主でなければなりません。霊能者・霊媒は、霊の道具としての役割を果たすことになりますが、霊性が低く利他性の少ない霊能者は、決まって“低級霊”の介入を受けるようになります。無私無欲の人格の持ち主でないかぎり、本物の霊能者にはなれません。残念ながら現実には95％以上の霊能者が低級霊の餌食・手足となっています。

一方、霊能者自身の能力という面から言えば、それぞれの人間が発揮できる霊能力の種類は決まっています。すべての霊能力を発揮できるといったオールマイティーの霊能者は、めったにいるものではありません。１～２種類の霊能力を持っているというケースが、ほとんどです。しかもそうした生まれながらに持っている霊能力も、体調や環境の影響を受けて発揮できる程度が限定されてしまいます。このように一口に「霊能者」といっても、霊能力の種類も霊能力の程度も、人によってさまざまなのです。稀に人間性が優れた霊能者もいますが、そうであっても体調が悪いときや、自己コントロールができずに煩悩に心が占められているときには“低級霊”に翻弄されるようになります。こうした霊能者の諸条件が、心霊現象にストレートに影響するのです。

３つ目の条件である「交霊会」も、内容的にピンからキリまであります。交霊会における最も重要な点は、それが誠実な動機から真剣に心霊現象を求める人々の集まりとなっているかどうか、ということです。物欲的野心を持った人間がふざけ半分で集まっているような交霊会には“低級霊”しか寄ってきません。したがって志が一致した人間が真摯な思いを持って集まり、調和した和やかな霊的雰囲気をかもし出すことが大切です。その意味で交霊会の参加者は、決まった人間・レギュラーメンバーであることが望ましいのです。新参者が来るだけで交霊会の雰囲気が崩されるようになります。しかし実際には、交霊会に集まってくる人間は好奇心に駆られた者たちばかりで、まともな交霊会はほとんどありません。

「心霊現象の多様性」――心霊現象には無限のバリエーションが存在

心霊現象現出のための条件について分析してきました。一般的な心霊現象（スピリチュアル心霊現象）は、３つの条件の組み合わせによって発生します。それは３つの条件の組み合わせいかんで、さまざまな心霊現象が発生する可能性がある、ということを意味しています。

もし「霊」「霊能者」「交霊会」のそれぞれに10ランクのレベルがあるとするなら、最低1000通りの心霊現象が現出する可能性が考えられることになります。実際にはその何十、何百倍もの内容の差がありますから、何万、何十万通りもの心霊現象が発生する可能性が出てきます。これが「心霊現象の多様性」ということです。

「心霊現象の質」の問題

心霊現象は一般の人々が考えるような単調・単純なものではありません。きわめて複雑な条件下で演出されるものなのです。そこで特に重要な点は、巷に無数に存在する心霊現象の中には「真に地球人類の霊的成長にプラスとなるようなものは、ほんの一握りしかない」ということです。メディアなどを通じて世間の人々が目にする心霊現象のほとんどが、霊的には何の価値もないもの、反対に害をもたらすものばかりなのです。

スピリチュアリズムでは、数限りない心霊現象の中から、一握りの優れた心霊現象を明らかにしてきました。実は、それがスピリチュアリズム初期における「心霊研究」の目的の一つであったのです。本当に優れた心霊現象は、万に一つも存在しないまさに“奇跡”とも言えるものですが、スピリチュアリズムはそうした心霊現象を、霊界サイドの綿密な計画のもとで着実に演出してきたのです。