「スピリチュアル・ヒーリング」の特色

スピリチュアル・ヒーリング（心霊治療）とは、霊的・精神的な力やエネルギーを用いて行う治療のことです。一般の人々は、スピリチュアル・ヒーリングを不思議な治療法・奇跡的な治療法と思っていますが、それは「心霊現象」の一つで、現在のスピリチュアリズムにおいて重要な役割を担っています。スピリチュアル・ヒーリングは、スピリチュアリズムの初期に盛んに演出された「物理的心霊現象」（＊第１系統の心霊現象）に代わる、スピリチュアリズムの中心的な心霊現象として位置づけされています。

これまで見てきたように物理的心霊現象は物質次元に、精神的心霊現象（＊第２系統の心霊現象）は精神次元に現れます。物理的心霊現象は霊媒の外部に、精神的心霊現象は霊媒の内部に発生します。このように心霊現象が出現する次元が、物理的心霊現象と精神的心霊現象では全く異なっています。それに対して「スピリチュアル・ヒーリング」は、病人の肉体次元と精神次元の両方に影響を及ぼします。２つの領域にまたがって心霊現象が出現します。つまり「スピリチュアル・ヒーリング」は、病人の肉体を癒すと同時に、精神の異常をも癒すのです。肉体という物質的身体を癒すという点では物理的心霊現象に通じ、精神の異常を癒すという点では精神的心霊現象に通じます。

スピリチュアル・ヒーリングを受けた後の肉体の改善状態は、肉眼によって確認されたり、医学的な検査結果に現れたりします。一方、精神次元の癒しは、患者自身が実感を持って認識できます。それまでの内面の苦しみが減少したり消滅したりすることが、見た目の変化としては分からなくても、患者本人には確かな事実として認識できるのです。

スピリチュアル・ヒーリングが霊的・精神的次元にも及ぶという事実は、そこで用いられる治療エネルギーが霊的な要素を持ったもの、すなわち「霊的エネルギー」であることを示しています。この霊的エネルギーが、霊的・精神的な異常ばかりでなく、肉体（物質）的な異常をも癒すのです。これは霊的要素が肉体に影響を与えることの証明になります。現代医学はこうした事実を決して認めようとしませんが、スピリチュアル・ヒーリングの現場では、霊的エネルギーが肉体に影響を及ぼすという不思議なことが実際に発生します。唯物論者であっても、自分の病苦がスピリチュアル・ヒーリングで癒されることを実感することができます。これは、唯物論者に対する最も説得力のある霊的エネルギーの説明になります。

大きく２つに分類される「スピリチュアル・ヒーリング」

スピリチュアル・ヒーリングにはさまざまな種類がありますが、大きく２つに分類されます。一つは霊界の霊（スピリット）によって演出されるもの、もう一つは地上のヒーラーによって演出されるものです。前者の「霊界の霊」によって演出されるスピリチュアル・ヒーリングを「スピリット・ヒーリング」と呼びます。霊（スピリット）によるヒーリングという意味です。

「スピリット・ヒーリング」はスピリチュアル・ヒーリングに含まれますが、それは全体の５％にも満たないきわめて特殊なヒーリングです。スピリチュアリズムにおいて最も重視するのは、このスピリット・ヒーリングです。後者の地上のヒーラーによって演出されるヒーリングは、世間一般にスピリチュアル・ヒーリングとしてよく知られているもので、それには多くの種類があります。

このようにスピリチュアル・ヒーリングは、「治療の主役」という点から大きく２つに分けられます。霊界の霊が治療の“主役”となるスピリット・ヒーリングと、地上のヒーラーが治療の“主役”となる一般的なスピリチュアル・ヒーリングです。

先に「精神的心霊現象」には、サイキックレベルとスピリチュアルレベルの２種類の現象があることを説明しました。それと同様に「スピリチュアル・ヒーリング」にも、サイキックレベルのヒーリングとスピリチュアルレベルのヒーリング（＊スピリット・ヒーリング）があるのです。

サイキックレベルのヒーリングでは、ヒーラーの身体にある「生体エネルギー」を治療に用います。それに対してスピリチュアルレベルのヒーリングでは、霊界のスピリット（霊医）がつくり出した特殊な治療エネルギー（スピリット・エネルギー）を用います。このようにスピリチュアル・ヒーリングは、治療の主役という観点からだけでなく、「治療エネルギー」という観点からも２つに分類することができるのです。（＊ヒーラーの身体に存在する「生体エネルギー」には２種類ありますが、それについてはあとで説明します。）

■スピリチュアル・ヒーリングの２分類（まとめ）

①治療の主役の観点から

• ●霊界のスピリットが主役――スピリット・ヒーリング
• ●地上のヒーラーが主役――一般のスピリチュアル・ヒーリング

②使用される治療エネルギーの観点から

• ●スピリットがつくり出すスピリット・エネルギー――スピリット・ヒーリング
• ●ヒーラーの生体エネルギー――一般のスピリチュアル・ヒーリング

「スピリチュアル・ヒーリング」の目的

すでに見てきたように精神的心霊現象は、“死別の悲しみ”を利用して地上人に「霊的覚醒」をもたらし、霊的成長の道を歩ませることを目的として演出されます。愛する人との死別に悲嘆している地上の遺族に、死者の死後存続の証拠を示し、「霊魂説の正当性」を証明することが精神的心霊現象の主な目的です。

それに対してスピリチュアル・ヒーリングは、“病気の苦しみ”を利用して「霊魂説」を証明し、地上人に「霊的覚醒」を促すことを目的としています。大半の人間がスピリチュアル・ヒーリングに期待するのは、肉体の癒しと病苦からの解放ですが、霊界サイドの目的はどこまでも、病気の苦しみを利用して地上人に「魂の救い・霊的覚醒」をもたらすことにあります。

先に述べたようにスピリチュアル・ヒーリングは、霊界の霊（スピリット）によって演出される「スピリット・ヒーリング」と、地上のヒーラーによって演出される「一般的なスピリチュアル・ヒーリング」に分けられます。その中で、スピリチュアリズムが真のスピリチュアル・ヒーリングと認めているのは、霊界の霊が主導的に進める「スピリット・ヒーリング」です。

ヒーリングの目的という点から見たとき、「スピリット・ヒーリング」と他の「一般のスピリチュアル・ヒーリング」では、根本的な違いがあります。一般のスピリチュアル・ヒーリングは“病気治療”を目的としていますが、スピリット・ヒーリングは病気治療よりも「魂の救い・霊的覚醒」を目的としています。スピリット・ヒーリングは、肉体の癒しよりも霊的救いを真の目的としているのです。

したがってスピリット・ヒーリングでは、病気が治っても「霊的覚醒」がもたらされなければ、その治療は“失敗”と見なされます。反対に病気が治らなくても「霊的覚醒」がもたらされるなら、その治療は“成功”と見なされます。このようにスピリット・ヒーリングの“成功・失敗”の判断基準は、一般のスピリチュアル・ヒーリングの判断基準とは全く異なっています。

スピリチュアル・ヒーリングに付きまとう問題

心霊現象には、“ニセ霊能者”による不正が常に付きまといます。特に「精神的心霊現象」は、不正の温床と言えます。こうした問題は、「スピリチュアル・ヒーリング」にもそのまま当てはまります。ただ、精神的心霊現象と違ってスピリチュアル・ヒーリングでは、治療の結果が患者自身によって直接認識されるため、ニセヒーラーはいつまでもウソをついてごまかすことはできません。ニセヒーラーの自己宣伝が、患者に対して威力を持ち続けるようなことはないのです。

スピリチュアル・ヒーリングにおける不正は、治療費に関するものが中心となります。少しでも苦痛をなくしたいと願う病人の弱みに付け込んで、ニセヒーラーが法外な治療費を請求するのです。「悪霊が取り憑いたために病気になっているので、除霊が必要だ」などと不安を煽り、大金を請求する悪徳ヒーラーが跡を断ちません。

霊界主導の「スピリット・ヒーリング」では、地上のヒーラーはスピリット（霊医）の助手であり、道具にすぎません。霊医の道具であるヒーラーは、治療費を取る立場にはないのです。ましてその目的が「霊的覚醒」という“魂の癒し”にあることを考えれば、多額の治療費を請求することは明らかに間違っています。

スピリット・ヒーリングに限らず、本来「スピリチュアル・ヒーリング」は、無償の奉仕活動として行うべきものです。スピリチュアル・ヒーリングは利他愛の行為であって、報酬を期待するようなものではありません。こうした点から見ると、現在の地球上のスピリチュアル・ヒーラーの大半が“失格”ということになります。純粋なボランティア活動・人助けの行為としてヒーリングを行っている人間は、ほとんどいません。

霊界主導のスピリット・ヒーリングは――「スピリチュアル・ヒーリングは、見返りを求めない純粋な奉仕活動であるべき」という“ヒーリング革命”を推し進めます。そして「ヒーラーは、真の利他愛の実践者であるべき」という“ヒーラー革命”を推し進めることになります。

スピリチュアル・ヒーリングの、さまざまな種類

すでに述べたようにスピリチュアル・ヒーリングは、「治療の主役」や「治療エネルギー」の違いから大きく２つに分類することができます。治療の主役という観点から言えば、「霊が主役」になるヒーリングと「地上のヒーラーが主役」になるヒーリングに分けられます。一方、治療エネルギーの観点から言えば、霊界のスピリットがつくり出す「スピリット・エネルギー」を用いるヒーリングと、地上のヒーラーの身体に備わっている生体エネルギーを用いるヒーリングに分けられます。

ヒーラーの生体エネルギーは、２つに分類されます。ヒーラーの霊体に属する「サイキック・エネルギー」と、ヒーラーの肉体に属する「マグネティック・エネルギー（生体磁気エネルギー）」です。したがってスピリチュアル・ヒーリングで用いられる治療エネルギーは、全部で３種類あることになります。「スピリット・エネルギー」と「サイキック・エネルギー」と「マグネティック・エネルギー」です。

それぞれの治療エネルギーに応じて、スピリチュアル・ヒーリングの種類が決定します。スピリット・エネルギーを用いる「スピリット・ヒーリング」、サイキック・エネルギーを用いる「サイキック・ヒーリング」、そしてマグネティック・エネルギーを用いる「マグネティック・ヒーリング」です。

このようにスピリチュアル・ヒーリングは、使用する治療エネルギーの種類によって分類できますが、これ以外にも「治療形式の違い」――すなわち治療エネルギーの与え方の違いからも分類できます。スピリチュアル・ヒーリングの最もポピュラーな治療エネルギーの与え方は、ヒーラーが患者を前にして手を当てたり手をかざしたりするというものです。

ところが、これとは異なる方法で治療エネルギーを与えるスピリチュアル・ヒーリングがあります。それが「遠隔ヒーリング」です。遠隔ヒーリングでは、遠く離れた所にいる患者に向けて、ヒーラーが治療エネルギーを送って治療をします。一般的に治療とは、ヒーラーや治療師が目の前の患者に対して行うもの（＊直接ヒーリング）と考えられていますが、遠隔ヒーリングでは、何百キロも離れた所にいる患者の治療をすることができるのです。しかもその治療結果は、患者を前にして行われる直接ヒーリングと比べても決して劣りません。

また、霊界の医者（霊医）が治療にあたる「スピリット・ヒーリング」の中には、一般的な治療形式（手を当てる・手をかざす・聖水を飲ませる・祈る）とは全く異なる「心霊手術」と言われるものがあります。これは霊医が地上のヒーラーを道具として使い、患者を手術するというものです。この手術はきわめて特殊で、素手や簡単な道具だけを用いて行います。麻酔や縫合や止血などの現代医療の処置を一切せずに、患者の体内から患部を取り出すというまさに奇跡のようなヒーリングなのです。

さらには「除霊治療」と言われる特殊なスピリチュアル・ヒーリングもあります。低級霊・未熟霊の類が地上人のオーラに憑依すると、心身にさまざまな異状が発生します。このような場合、ヒーラーが霊的エネルギーを患者に投射するなどして憑依霊を離れさせ、病気を治します。こうした除霊治療は古来、シャーマニズム信仰において行われてきましたが、現代の宗教の中でもしばしば見られます。他には、霊界の医者が地上の患者一人一人に応じた治療法を示す「霊示ヒーリング」というものもあります。

一口に「スピリチュアル・ヒーリング（心霊治療）」と言っても、このようにさまざまな種類があるのです。

＜スピリチュアル・ヒーリングの種類＞

１）スピリット・ヒーリング

２）サイキック・ヒーリング

３）マグネティック・ヒーリング

４）遠隔ヒーリング

５）心霊手術

６）除霊治療

７）霊示ヒーリング