１）霊能力とは

一般の人々は「霊能力」について、特別な人間だけが持っている特殊な能力であると思っています。そのため霊能力を身につけている「霊能者」を、一般人とは異なる人間・超人のように見なしてきました。

しかし重要な結論を言えば――人間は皆「潜在的霊能者」なのです。地上人の誰にも霊能力が内在しています。その“潜在能力”を、たまたま顕在化・表面化させている人間が「霊能者」ということなのです。霊能者と一般人との違いは、すべての人間が所有する潜在能力を表面化させているかどうか、という点だけにあるのです。

では、その“潜在能力”とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。潜在能力とは霊能力に他なりませんが、それは人間の「霊的身体（霊体）に備わっている能力」のことなのです。地上の人間は肉体の五感をはじめ、さまざまな肉体の能力（運動能力など）を携えていますが、それだけでなく「霊的身体（霊体）」にもさまざまな知覚能力や運動能力が備わっています。死後、肉体を脱ぎ捨てて霊体だけになった人間は、霊界で“霊的感覚器官”を持って生活します。この事実は――「人間は死後、誰もが例外なく霊能者になる」ということを意味しています。

肉体という物質的身体に多くの機能があるように、霊体にも種々の機能が備わっています。霊体には、肉体の目や耳に相当する“霊的感覚器官”があります。それによって霊的視力（霊的視覚）や霊的聴力（霊的聴覚）といった「霊能力」が発揮されるようになるのです。これ以外にも霊的嗅覚や霊的触覚やテレパシーなどの能力があります。霊界にいる霊たちは、霊的感覚器官を通して霊界にいる存在物（他の霊たち・天使・妖精など）を認識し、それらに働きかけたり、互いに交流したりしています。

地上の霊能者は、霊界人が当たり前に身につけている「霊的視力」を肉体を持ったまま発揮して霊的存在物を見たり、「霊的聴力」によって霊界人の話やメッセージを聞いたりすることができます。ソクラテスが“ダイモン”という霊の声を聞いていたことはよく知られていますが、これはソクラテスが「霊聴能力」を持った人間（霊能者）であったことを示しています。

人間の「霊体」にはいろいろな能力があり、霊能者はそれを肉体次元において発現させます。霊体に種々の能力が備わり、その発現レベルがさまざまであるため、肉体レベルでの霊能力の顕現には無数ともいえるバリエーションが存在することになります。発現する霊能力の種類やその発揮の程度が一人一人で異なる結果、数えきれないほど多くのタイプの霊能者が生まれることになります。

とは言っても実際には、一人の霊能者が発揮する霊能力は１～２種類の場合が多いようです。霊的視力や霊的聴力や霊的触覚などのうち、どれか１種類の霊能力を発揮する霊能者が一般的です。数種類の霊能力を同時に発現させることができる霊能者は、ごく少数に限られます。一人の霊能者が４～５種類の霊能力を所有するというようなことは、めったにありません。しかし人類の歴史の中には稀にこのようなケースがあり、そうした人間は卓越した霊能者として大きな働きをすることになります。

一方、世の中には霊能力がほとんどないにもかかわらず、さも霊能力があるかのように見せかけている“ニセ霊能者”が多くいます。自称霊能者のほとんどは、ほんのわずかな霊能力しか身につけていないのに、金儲けのために“大ボラ”を吹いています。