２）霊能者としての人生の決定

では、どのような人間が潜在している霊能力を発揮し、霊能者になることができるのでしょうか。霊能者として地上人生を送るようになるについては、それを決める何らかの要因があるのでしょうか。重大な結論を言えば――「霊能者になるかならないかは、生まれつき決定している」ということなのです。とても信じがたいことのように思われるかもしれませんが、事実なのです。この問題を解明するには、「再生」についての正しい理解がどうしても必要になります。

現在、霊能者として歩んでいるほとんどの人間には「前世」での人生があります。すでに地上生活を体験していて、死後霊界で一定の時を過ごし、再び地上に誕生して現在に至っているということです。霊能者になる人間は、地上に再生する前に、霊界においてその道を自己選択します。次の地上人生を霊能者として歩みたいと、自ら希望するのです。そうした霊能者としての“再生人生”の選択については、霊界の指導霊や高級霊との綿密な打ち合わせのうえで、最終的な許可が下されることになります。個人の好き嫌いや選り好みによって再生人生が決まるようなことはありません。本人の「霊性・カルマの清算状況・性格・人間性・適性・人類への奉仕性」といったさまざまな点から厳しく審査され、再生人生の内容が決定されることになるのです。

『シルバーバーチの霊訓』の中に次のような箇所があります。

――霊能者になるかならないかを決めるものは何でしょうか？

「地上へ誕生する前の本人の自由意志で決めています。」

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――ということは、私は今の霊媒としての仕事を誕生前に選択したのでしょうか？

「もちろんですよ。あなたは母親の胎内に宿る前から存在していたのです。たまたまこうなった（※霊媒になった）というものではありません。（中略）

あなたも、出発点で決断したのです。その時点（※再生前に霊界にいた時）では、この道を選べばこういうことになるということを承知していたのです。それから地上へ誕生したのですが、誕生した時はそうした記憶は潜在意識に埋もれてしまいます。そして、人生体験の中で少しずつ取り戻していきます。

あなたがこうした人生（※霊媒としての人生）を選ばれたことには偶然も、奇跡もありません。すべては法則と秩序と意図のもとに行われています。すべてが計画されているのです。」

霊能者になるかならないかを決定する一番の要因は、地上に再生する前の本人の意志ということになります。再生の人生行路を決める際には本人の意志が尊重されますが、霊能者の場合にも、それがそのまま当てはまります。

再生人生を選択するにあたって最優先されるのが、「霊的成長」と「カルマの清算」です。なぜなら再生は、この２つの目的のためになされるものだからです。そうした観点から、ある霊は「霊能者」になる道を選びます。霊能者として苦労の多い再生人生を送ることで前世でつくってしまったカルマ（＊「摂理」から外れた行為・罪）を償い、霊的成長の道を歩み出したいと考えるのです。

別の霊は再生に先立って、前世でつくり上げたカルマを清算し霊的成長をなすためには、霊能者ゆえにふりかかる誘惑に耐え抜く試練が必要であることを強く感じるようになります。そして「霊能者」になることを希望します。地上世界では霊能力を持つと大きな誘惑と隣り合わせになることを知ったうえで、あえて危険性の高い環境を願い出るのです。そうした誘惑の多い環境を見事に乗り越えるなら、克己心を鍛え、魂を強化することができるようになります。

またある者は、前世で霊能力があったために失敗を犯し、それを償う目的で「霊能者（霊媒）」の道を希望します。前世で「霊能力（霊媒能力）」を使って悪事を働き他人を苦しめたような場合、再生時には自らが「霊媒体質によって苦しみを味わう」という試練を受けなければなりません。霊媒能力を悪用した罪を償うために、再生人生では“憑依の苦しみ”が付きまとう霊媒の道を選択することになります。

こうしたカルマの清算を主な目的とした再生とは異なり、一定の霊的レベルにまで至った霊が、地上人の霊的向上に寄与する使命を持って再生することがあります。その際に「霊能力を用いて働きたい！」と申し出て、それが認められると「霊能者・霊媒」としての地上人生を送ることになります（＊ただし、そうして地上に生まれた「霊能者・霊媒」の多くが再生前に決意した本来の崇高な使命から外れ、物欲・肉欲といった“煩悩”に負け堕落しています）。