１）霊能者養成セミナー・ヒーラー養成セミナーの実態と偽善性

世間では、人々の低俗な霊能者願望・ヒーラー願望に付け入った霊能者養成セミナーやヒーラー養成セミナーが盛んに行われています。こうしたセミナーを主催する側の人間にとってそれは、自分たちの金儲けや地位・名声獲得の手段でしかありません。“人助けのため”と銘打ってはいても、その実態は人々の霊能者願望・ヒーラー願望を利用した金儲けであり、悪徳商法以外の何ものでもありません。セミナーを主催するには、会場と少人数のアシスタントがいれば十分です。そして宣伝費も他の業種と比べ、ほんのわずかで済みます。こうしたセミナーは、ほとんど元手なしに開くことができるのです。しかもセミナーの参加者が、自発的に新しい参加者を連れてきてくれるようになります。

霊能者養成セミナーやヒーラー養成セミナーは、“短期間で霊能者になれる”“簡単にスピリチュアル・ヒーラーや気功師になれる”といった謳い文句で人々の低俗な好奇心を刺激し、より多くの人間を集めようとします。霊的知識がある人なら、こうした宣伝文句は全くのデタラメ・ウソであることがすぐに分かるのですが、霊的真理を知らないうえに霊能者願望が強い人間には、ウソを見抜くことはできません。こうしたセミナーの実態は、霊能力を餌（エサ）に参加者から金（カネ）を巻き上げようとする“詐欺行為”そのものと言えます。

セミナーでは普通、心霊学や神秘学の専門知識を用いた講義と、簡単な実習が行われます。主催者側は、それらを受講するだけで霊能力やヒーリング能力がつく、と言います。またセミナーは、いくつかのコースに別れ、コースごとに受講日数と金額が違っています。言うまでもなく彼らの宣伝文句は、「日数の長いコース（上級コース）に参加すれば、それだけ大きな霊能力を身につけることができるようになる」というものです。しかし、これは「お金で霊能力を身につけることができる。お金で霊能者の資格を得ることができる」という馬鹿げた理屈です。

一方、受講者の方は「高いお金を払ったのだから元を取りたい。取らなければ損だ」と思ったり、「他の人に霊能力がついたのだから自分にもつかないはずはない」と考え、低俗な感情と競争意識を持ってセミナーに臨むようになります。そのためこうしたセミナー参加者の中から、低級霊による憑依や精神障害といったトラブルがひんぱんに発生することになります。

セミナーに参加すると、今まで体験したことがないような霊的体験をすることがあります。会場にはきわめて次元の低い霊的エネルギーが渦巻き、“低級霊”が集結しています。こうした霊的状況の中では、少しでも霊的に敏感な人間はそれまでの人生で味わったことがない“霊的刺激”を体験するようになり、これが当人に「本当に霊能力を獲得できるかもしれない」との期待感を抱かせることになります。こうして霊能力開発セミナーの“罠（ワナ）”にはまっていくようになります。

また“霊動”などの初歩的な霊的現象が発生すると、参加者の間で注目を集め、スタッフから賞賛を受けるようになります。これが本人の“虚栄心”と“プライド”を煽り、セミナーにのめり込んでいくことになります。セミナーに参加することで周りの人々から特別視されるようになり、それがたまらない快感になってしまうのです。

一方、セミナーでは、これまでの人生にはなかった親密な人間関係を持つことができるようになり、共通の話題（霊能力についての話）で盛り上がります。そこに本当の親しさ・友情があると思い込む人間もいます。こうしてセミナーが、自分にとって一番心地よい場所・相応しい場所であるかのような錯覚にとらわれてしまいます。

セミナーにのめり込んだ人間が、家に帰って一人で訓練をしても、あまりぱっとした霊的な反応は現れません。そしてセミナー会場の特殊な霊気の中でのみ、霊能力が現出することが分かるようになります。こうして毎回欠かさずセミナーへ参加するようになり、セミナー通いが常習化し、そこから抜け出せなくなってしまうのです。

本来、初期の霊能力開発訓練は、高い霊的意識を持った仲間と行うことが原則ですが、そうした時でも、参加者一人一人の意識は常に自立していなければなりません。他人に依存する精神状態そのものが、“低級霊”を引き寄せることになるのです。“セミナー中毒者”には、他人への依頼心やセミナーのスタッフへの依存傾向が強く見られます。それはまさに、新興宗教の信者が教祖や幹部に依存するのと共通した世界です。

このような霊能力開発を謳った詐欺的なセミナーが横行する中で、最も悪質なものは“スピリチュアリズム”の名前を用いて人々を騙すセミナーです。スピリチュアリズムの名前や霊的知識を利用して、自分たちのセミナーが、さも本物であるかのように装うのです。「霊的真理」を知ったスピリチュアリストが、金儲けや売名のために、エゴの極みともいえる“人騙し”をすることは重大な問題です。現実に、そうしたスピリチュアリズムを悪用した不正が横行しています。

スピリチュアリストは本来、霊的な現象や霊能力に興味を持ち過ぎる人々に対して、その無意味さを説き、間違いを教えてあげなければならない立場に立っています。そのスピリチュアリストが悪質な詐欺行為に手を染めるなら、一般の人々よりも“大きな罪”を犯すことになります。