１）２種類の霊能力

霊能者としての素質を持って生まれてきた人間（霊能体質者）は、ある時期に至ると、霊能開発訓練によって霊能力が自然に発現するようになります。その「霊能力」とは、人間の「霊体」にもともと備わっている能力です（＊この意味からすれば、すべての地上人は霊能者としての“潜在能力”を秘めている、ということになります）。一般の地上人は、肉体という物質的身体が障壁となり、霊体に備わっている霊能力は内部に閉じ込められたままになっています。

“霊能体質”を持った人間の場合、霊能開発訓練を通して、霊体の能力を肉体次元においても発揮することができるようになります。これが「サイキック能力」であり、その能力を身につけた人間が一般的にいう「霊能者」です。霊能体質者は再生前に、地上人生を霊能者として送ることを決心して来ています。一方、霊能者としての素質を持っていない人間であっても、一定の訓練を続けることによって「霊能力」が発現するようになる場合があります。密教行者や修験者などは、不自然な訓練を無理やり続けることで、後天的に“霊能体質”をつくり上げてしまうのです。

このように一口に「霊能者」と言っても、もともと素質があってなるケースと、不自然な修行という後天的な要因によってなるケースの２つに分かれます。

霊能者には、生まれつきの能力を開花させた人間と、無理やり訓練した結果、霊能力を持つようになった人間の２つのタイプがあることが分かりました。いずれの場合も発現した霊能力は、本来「霊体」に備わっていた能力であることには変わりありません。これが今述べた「サイキック能力」です。世間一般にいう霊能力・超能力とは、このサイキック能力のことです。

「サイキック能力」には、霊視（透視）能力・霊聴能力・霊的触覚能力・霊的臭覚能力・サイコメトリー能力・テレパシー能力・ヒーリング能力など、さまざまな種類があります。こうしたサイキック能力は、どこまでも個人の「霊体」に存在する能力が現出したものであり、そこで発揮される霊力は一個人の範囲に限定されます。サイキック能力では、一人分の霊力しか発揮できません（＊この場合でも、それぞれの人間によって発揮される霊力の程度は異なります）。

サイキック能力は、霊界の人々の働きかけのもとでより高い次元（スピリチュアル・レベル）に引き上げられ、それにともない発揮される霊力は格段にアップすることになります。サイキック・レベルからスピリチュアル・レベルに移行することで、霊能力の質が飛躍的に高まるようになるのです。霊界の人々の働きかけによって発揮されるようになる霊能力――これが「スピリチュアル能力」です。このように霊能力は、サイキック・レベルの霊能力（サイキック能力）とスピリチュアル・レベルの霊能力（スピリチュアル能力）に分けられます。「サイキック能力」は、霊的修行の初期段階において発生する初歩的な霊能力です。それに対して「スピリチュアル能力」は、サイキック能力が格段に進歩・向上した高次元の霊能力と言えます。

例えば「霊視能力」は、サイキック・レベルでは地上人の物質次元や半物質次元のオーラ、あるいは地上人の霊体や霊体内のエネルギーの通路を認識できる程度ですが、これがスピリチュアル・レベルにまで引き上げられると、霊界にいる霊の姿や天使などの霊的存在者や幽界の動植物（＊霊界人や天使たちが想念でつくり上げた“幽質存在物”のこと）を認識できるようになります。また地上人の心の内容を、高次元オーラ（＊「霊の心」から放射されるオーラ）を通して読み取ることができるようになります。

「テレパシー能力」について言えば、サイキック・レベルでは他人の肉体次元の状況（眠気・痛み・疲れなど）の感知・感応や、霊体オーラの影響力の感知・感応はできますが、それ以上の次元での感知・感応はできません。それがスピリチュアル・レベルになると、霊界の霊の思いや思想・メッセージを受け取ることができるようになります。すなわち高次元の“インスピレーション”を獲得するようになるのです。

また「ヒーリング能力」においては、サイキック・レベルでは患者の「霊体」次元までを治療領域とするサイキック・ヒーリングにとどまりますが、スピリチュアル・レベルに至ると、患者の「霊」と「霊の心」まで含めた身体全体を治療領域とする“スピリット・ヒーリング”に進化するようになります。