３）スピリチュアル能力の困った問題

スピリチュアル能力とは、一人の霊能者の霊体に由来する能力の範囲にとどまらず、霊界にいる多くの霊界人の影響力を結集して地上に反映させる能力のことです。霊界の霊たちの働きかけを地上に現す能力のことです。霊界の人々の道具として、その力を地上において発揮させる能力のことなのです。スピリチュアル能力発現の主役は、どこまでも霊界の人々です。霊界の人々は「霊能者の能力（サイキック能力）」を用いて地上に働きかけ、何百人、何千人分もの霊力を地上世界にもたらすことができるのです。地上の霊能者の「サイキック能力」を霊界の人々（守護霊や背後霊など）が用いることによって、そのサイキック能力は自動的に「スピリチュアル能力」へと引き上げられることになるのです。

ところがここに、しばしば困った問題が発生します。それは地上の霊能者のサイキック能力に働きかけ、これを利用するのは高級霊だけではない、ということです。実際には高級霊どころか、正反対の“低級霊”のケースが圧倒的に多いのです。地上の霊能者が霊界の高級霊の良き道具となるのではなく、低級霊の道具となって悪い影響をもたらすようになるのです。

低級霊による「スピリチュアル心霊現象」が特に顕著に現れるのが「霊媒現象」です。霊媒体質者は、霊と物質を結ぶ連結器のようなものです。霊媒体質者は大量の“オーラ”を身体から放射させているため、霊界と地上界を媒介することができるのです。霊媒現象は、霊界にいる霊が地上の霊媒体質者（霊媒）のオーラと自分のオーラを融合させて“潜在意識”を支配し、霊媒の肉体コントロール機能（＊言語中枢・発話中枢・筆記中枢など）を用いて働きかける現象です。これが高級霊によって行われると、高次の霊的知識や霊的思想が地上に伝えられ、人類に大きな恩恵がもたらされることになります。

ところがこのプロセスが、しばしば“低級霊”によって乗っ取られ、霊媒がその道具として利用されることになります。一般に「霊媒能力」はサイキック次元から一気にスピリチュアル次元にまで移行しますが、それが低級霊に侵入のチャンスを与えてしまうことになるのです。その結果、低級霊が霊媒を通していい加減なメッセージを送ったり、地上人をからかったりイタズラをすることになります。霊媒現象の実に95パーセント以上が、こうした低級霊によるものです。

低級霊による霊媒現象がさらにエスカレートすると、「憑依現象」にまで進んでいくようになります。こうなると地上の霊媒体質者（霊媒）は完全に低級霊の手足・道具とされ、操り人形のようになってしまいます。そして精神障害や自殺・徘徊・暴行といった、さまざまなトラブルを引き起こすようになります。

霊媒現象以外にも、「スピリチュアル能力」が低級霊に乗っ取られてしまうケースがあります。例えば「霊視能力」もその一つです。サイキック・レベルの霊視能力が発現すると、霊界（幽界）と物質界の中間レベルの映像を認識できるようになります。こうした能力がさらにエスカレートすると、霊界の霊や存在物（＊霊がつくった想念霊や天使・妖精など）も見えるようになります。

この「霊視能力」を“低級霊”が支配し、霊能者（霊視能力者）をからかう目的で霊的な映像を見せつけ、さまざまな問題を引き起こすことになります。低級霊はよく、霊能者に自分がつくった想念霊を見せ、それを崇拝させようとします。また低級霊は自らの姿をお化けや怪物のように変化（へんげ）させ、恐怖に陥れようとします。そうして地上の霊能者が慌てふためく様子を見て、ほくそ笑み楽しむのです。低級霊はしばしば、こうした手段を用いて“スピリチュアリズム”への妨害を画策します。

スピリチュアル能力が低級霊に乗っ取られ、悪事に使われる困ったケースとしては、霊媒能力・霊視能力以外に「霊聴能力」や「テレパシー能力」があります。高級霊や守護霊・背後霊といった善良な霊からのメッセージは地上人にとって大きな恩恵となりますが、低級霊はわざとデタラメなメッセージを伝えて霊能者をからかい、トラブルを引き起こすのです。

このように「スピリチュアル能力」を持った者は、絶えず“低級霊”に付け狙われています。スピリチュアル能力が価値を持つのは、それが霊界の高級霊や守護霊・背後霊といった善なる霊たちによって活用される場合に限られます。しかし実際には、低級霊に利用されてしまっているケースが圧倒的に多いのです。

特に霊能力を獲得するために不自然な修行を続けてきたような人間の場合、そのスピリチュアル能力は100パーセント“低級霊”に支配されるようになります。「何が何でも霊能力を身につけたい！」という低俗でエゴ的で傲慢な思いが、低級霊の格好の標的となるのです。スピリチュアル能力を持った霊能者・霊媒のほとんどが低級霊に支配され翻弄されているという事実は、スピリチュアリズムにとってきわめて深刻な問題です。