４）霊界人の導きに対する霊能者の裏切り

これほどまでに苦労に苦労を重ねた導きも、地上人（霊能者・霊媒）の気まぐれや身勝手さによって、そのすべてが一瞬にして水泡に帰してしまうことがあります。実際には、裏切りという悪い結果に終わってしまう方が圧倒的に多いのです。霊界人の全力を傾けた働きかけは多くの場合、絶望という形で終わっています。霊界からの導きが成功するのは、20～30のケースのうち、1つあるかないかというような低い確率なのです。成功裏に終わるケースは、きわめて稀なのです。

そうした地上の霊能者の“裏切り”という悲しい現実に対して、シルバーバーチは次のように霊界人の心情を語っています。

「霊の道具を見出すのは容易ではないのです。たとえ見出しても、その能力を開発して正しく活用するように指導するのが、また容易なことではないのです。さらに、せっかく使いものになる段階にまで育て上げたころには、煩悩が頭をもたげて、道に外れたことをやり始めます。」

「最善の配慮をもって立てた計画さえも挫折させるほどの、思わぬ事情が生じることがあります。この人こそと思って選んで開始した何年にもわたる準備計画が、本人の自由意志による我がままによって、水の泡となってしまうこともあります。」

「試行錯誤の末にどうにか継続しているというのが実状です。その原因は、せっかく目星をつけた霊能者がどこまでこちらの期待に応えてくれるかは、前もって判断できるとは限らないからです。最後の最後で堕落して使いものにならず、何十年にもわたる努力が水の泡となることがあります。」

「上層界の高級霊が目にいっぱい涙を浮かべて悲しんでおられる姿を、時おり見かけることがあります。今こそと思って見守っていたせっかくの善行のチャンスが踏みにじられていく人間界の愚行を見て、いつかはその愚かしさに目覚めてくれる日がくることを祈りつつ、眺めているのです。」

霊界から地上に向けての働きかけが、いかに困難を極めるものであるかを実感していただけたものと思います。私たちの周りには“物欲の虜”となって、霊界からの長年にわたる導きを裏切り続けている多くの霊能者がいます。こうした状況の中で、もし地上に霊界人の道具となる人材（霊能者）が現れ、自らを「霊の道具である」と宣言するなら、霊界では祝宴を催すほどの喜びに包まれることは言うまでもありません。地上の霊能者が、霊界の大軍団の兵士に志願してくれることほど、霊界人を励まし喜ばせることはないのです。

スピリチュアル・ヒーリング（スピリット・ヒーリング）は、今後、スピリチュアリズム運動を展開するうえで中心的な心霊現象となっていきますが、それに携わるヒーラー（ヒーリング能力を持った「スピリチュアル霊能者」）は、霊界の軍団を代表して地上世界に働きかけることになります。そうした「本物のスピリチュアル・ヒーラー」が地上に登場するについては、霊界において想像を絶するような導きのプロセスがあることを決して忘れてはなりません。どのようなことがあっても、多大な犠牲を払い献身的に導いてきた霊界の人々の期待を裏切るようなことがあってはならないのです。