３）霊能者の堕落に拍車をかける誘惑的環境

霊能者は常に、自分を悪の道に引きずり込むことになるこの世の誘惑にさらされています。それは「霊能者は、堕落する危険といつも隣り合わせにいる」ということを意味しています。霊能力があるというだけで、その人間の周りには多くの人々が集まってきます。霊能力に関する知識がない人々は「霊能者」を、何もかも見通すことができる神のような偉い人間であると思い込み、自分の人生や未来についてさまざまな指示を仰ごうとします。霊的真理を知らない一般大衆は、霊能者に霊的な事柄（守護霊・前世・未来予知・死者からのメッセージなど）について尋ね、その答えを教えてもらおうとします。また自分や家族の不幸やトラブル・病気を取り除いてもらおうとしてすがり、除霊や先祖供養や祈祷を願い出ます。

こうした人々を騙し、お金を巻き上げることはいとも簡単です。相手が安心し喜ぶような適当な答えを示し、相手が感激するような親切な言葉・同情的な言葉をかけてやればよいのです。それだけで、相手はたちまち信奉者になってしまいます。そして自分から他の人々に、本物の霊能者・素晴らしい霊能者であると宣伝してくれるようになるのです。

こうして一般大衆の「霊的無知」と「低俗な好奇心」が、霊能者のウソと詐欺的行為をエスカレートさせることになります。

霊能者は人々と接するうちに、この世の人間はいかに簡単にウソを信じ込むものであるか、大衆を騙すのは何と簡単なことかを理解するようになります。そして邪（よこしま）な思いがふくらみ始め、ウソをつくことが常態化していきます。「前世」や「守護霊」など誰も分からないのをいいことに、平気でウソをつくようになります。それでも相手は、そのウソをすべて鵜呑みにし、喜んで多額の報酬をもたらしてくれるのです。そのため霊能者は、さらに感覚が麻痺していくようになります。「ウソをついて人々を騙している」という“罪悪感”が失われてしまうのです。

これほど楽にお金を稼ぐことができる仕事は他にありません。相談料をどんどん高くしていってもそれを渋るような人間がいないため、ますます増長し、高額報酬が当たり前の感覚になってしまいます。霊能者の評判・人気が上昇すると、例外なく相談料が吊り上げられるようになりますが、それにはこうした背景があるのです。

霊能者の堕落化に拍車をかけるもう一つの要因が、テレビ局に代表されるメディア業界・出版業界です。利にさといメディア業界・出版業界の人間は、霊能者を利用して利益を得ようと画策します。霊能者を広範囲に売り込むことで無知な大衆を簡単に騙し、視聴率を上げたり出版部数を増やせるようになることを知っているのです。それどころか騙された視聴者や購読者が、批判者からの“反論の盾”となってくれることも計算済みです。

テレビ関係者や出版業者にとって、霊能者ほど利用するのに都合がいい存在はありません。自分たちに商業的利益をもたらしてくれるなら、霊能者がニセモノであろうが本物であろうが、どちらでもいいのです。言論・出版の自由をいいことに、視聴率を上げること・売り上げを伸ばすことだけを当て込んで、無節操な行為に走っています。そこには“金こそすべて”という金権主義しかありません。テレビ関係者や出版業者は、自分たちに利益をもたらしてくれそうな霊能者探しに血眼になっています。こうしたテレビ局も出版社も、霊的に見れば、人々を意図的に騙す“ペテン師”と大差ありません。ペテン霊能者の共犯者以外の何ものでもありません。

一方、霊能者にとっては、テレビに出演したり本を出版することで知名度が高まり、さらに多くの人間が自分の周りに集まるようになります。そしてますます多くのお金や人気・名声を手にすることができるようになります。“ペテン霊能者”にとって、利害を共有できるメディア業界・出版業者の人間は、実にありがたい存在なのです。こうしてニセ霊能者のペテン的行為は、どんどんエスカレートしていくことになります。