２）ニセ霊能者のウソ・騙しの手口

スピリチュアリズムの霊的真理を知らない世の多くの人々は、霊界通信（チャネリング）や霊能者（チャネラー）に対する基本的な判断力を持っていないため、“ニセモノ”にまんまと騙されています。少しでも霊的真理を知っている者にとってはバカバカしく思えるようなニセ霊界通信やニセ霊能者の発言を、まともに受け入れ信じ込んでいます。また精神世界や心霊世界に関心を持つ若者やニューエイジャーたちも、いかがわしい霊界通信や宇宙人（？）からの通信に惑わされています。

そうした人々には、通信の内容を見極める最低限の霊的知識さえありません。そのため何が本物で、何がニセモノであるかの区別が全くつかないのです。ましてや、それがどの程度の霊的レベルのものであるかの判断などは下しようもありません。その結果、独りよがりの思い込みの世界に陥って、“低級霊”にいいように翻弄されてしまっています。

私たちがよくよく心しておかなければならないことは、現在、世間で見かける多くの霊能者たちは“ウソ”を巧みに利用している“ニセモノ”であるということです。ニセ霊能者は、自分を本物の霊能者であると信じ込ませるために意図的に道徳的教えを語ったり、話の中にわざと真実を盛り込んだりします。現在では、誰もがすぐにウソだと分かるようなことを平気で口にする霊能者はいません。一昔前と違って、単純なウソは通用しなくなっているからです。こうした道徳的教えを利用したニセ霊能者の手口を見抜けない人々は、彼らの言うことを鵜呑みにしています。

最近のニセ霊能者の中には、霊的知識を材料にして“上手なウソ”をつくり上げる者もいます。彼らは霊的知識を巧妙に利用して、もっともらしい言葉を口にします。愛の素晴らしさを強調し、困っている人々への奉仕の大切さを語り、弱い人には優しく手を差し伸べるべきであると訴えます。また常にほほ笑みを絶やすことなく、前向きに明るく過ごすようにと教えます。さらには守護霊への感謝、ならびに神への祈りを通して心をゆったりさせることの大切さを語ることもあります。ニセ霊能者は、高級霊の霊界通信と同じような素晴らしい内容を次々に並べ立てるのです。

そうした話を初めて耳にした人々は、深い感動を覚え、目映（まばゆ）いばかりの輝きを感じます。そして「何と優れた霊能者なんだろう！」と思うようになります。こうして“ニセ霊能者”を聖人のように尊敬し、崇拝する風潮ができ上がっていくのです。ニセ霊能者の中には、本を出版したりテレビに出演してタレント並みの人気を博し、それを利用して大金を手にする者も現れます。また新興宗教の“教祖”やカルトグループの“グル”として教団をつくり上げるような者もいます。

詐欺師は、自分を信用させるために、他人の不正をわざと声を大にして非難します。それによって周りの人々に、自分を正義の味方であるかのように思わせようとするのです。彼らは、さも誠実な人間であるかのように振舞います。そして「皆さん方の幸福のために貢献したい！」と声高に訴えます。また詐欺師は、たえず正義心と誠意と思いやりに満ちあふれた言葉を連発します。人々はそれを聞いて安心し、満足し、喜びを感じるようになり、いつの間にか“詐欺”が進行していくことになります。こうして詐欺師・ペテン師は言葉巧みに相手の心をつかみ、安心させ信用させてから“騙し”に入るのです。

実は“ニセ霊能者”の手口も、これと全く同じです。彼らは人間の心理に付け込み、同情したり慰めたりして相手に親近感を持たせてから“騙し”にかかります。ニセ霊能者という“詐欺師”は、心霊世界や心霊現象・占い・前世などに対する一般大衆の好奇心を利用して、まことしやかなウソで人々を騙します。そうしたニセ霊能者の本質は、この世の詐欺師と何も変わりません。

アメリカにおけるチャネリングの流行、日本での新・新宗教の勢力拡大や心霊ものの書物のベストセラー化なども、すべてこれと同じ状況のもとで展開してきました。人々の無知に付け込み、意図的に真偽を取り混ぜた“狡猾な詐欺”が大手を振ってきました。ずる賢いニセ霊能者は、霊的知識の持つ威力・影響力を上手に利用して自らの不正・ウソをカムフラージュし、大衆を騙してきたのです。単純なニセ霊能者とは異なり、知性的である分だけ悪質性が強いと言えます。

霊的に見たとき彼らは、この世の詐欺師・ペテン師と同じです。彼らは表面的には、親切で同情心あふれる人間のように振舞います。他人のためを思う善意を持った道徳的な人間、誠実で知性的な人間であるかのように装います。しかし、こうしたものはすべて見せかけだけであって、その本質は大衆を騙して自分の利益や人気を得ようとする、きわめてエゴ的な人間なのです。

そうした詐欺師と変わらないニセ霊能者の中で、最も悪質で狡猾な存在が、スピリチュアリズムの「霊的真理」を意図的に悪用するニセ霊能者です。最近ではスピリチュアリズムの普及にともない、その霊的知識を利用して上手なウソで人々を騙す“ペテン霊能者”まで現れるようになっています。

こうしたペテン師ともいうべきニセ霊能者と、営利主義・金権主義に支配された出版業界・メディア界の利害関係が一致し、両者が共謀して不正（詐欺）を拡大させるといった憂うべき状況が生み出されています。現在では出版業者やテレビ局が、自分たちの会社の利益のために悪徳霊能者とグルになって、大衆を騙し続けています。こうした状況は、スピリチュアリズムにとって看過することのできない問題です。なぜならそれは、地球人類に「霊的真理」を教え、霊的救い・霊的幸福をもたらそうとする霊界の人々の崇高な働きかけの障害となるからです。

霊的真理を利用して自分自身の利益獲得をはかることは、スピリチュアリズムに対する敵対行為です。ニセ霊能者を信じたことによって、本来ならスピリチュアリズムにまっすぐ導かれるべき人が、わざわざ遠回りをさせられるようなこともあります。霊的真理の正しい理解を妨げ、霊的成長に至る道を閉ざしてしまうようなことも生じます。このようにニセ霊能者の存在は、明らかにスピリチュアリズムの発展にとって重大な弊害をもたらします。

さらに深刻な問題は、霊的真理を“安売り”することによってスピリチュアリズムを冒涜（ぼうとく）し、その権威を失墜させるようになるということです。本来なら霊能者は、“スピリチュアリズム”が単なる心霊現象や霊感占いなどとは全く異なるものであることを教えるべき立場に立っています。スピリチュアリズムとは「霊的真理に基づく崇高な生き方」であることを、世間に示さなければならない役目を担っているのです。

意図的に霊的真理を悪用して人々を騙す行為は、まさに“恐ろしい罪”であり、彼らはシルバーバーチが言うところの、スピリチュアリズムにとっての“最大の敵”なのです。当然、将来においては、それに見合った償いの道を歩まざるをえなくなります。