１）スピリチュアリズムによる地球人類の霊的向上と、霊能者の増加

文明発生以前の太古の昔、人間が自然と一体となった生活をしていた頃には、霊能力が今より遥かにひんぱんに用いられていました。当時の人間は、現代人とは比較にならないほど多くの霊能力を発揮していたのです。ところが文明の発達とともに人工的な要素が生活を支配するようになり、それにともなって霊能力は徐々に失われていくことになりました。とりわけ物質文明が飛躍的に発展した近代以降には、霊能力を発揮する人間はきわめて少数となり、霊能者は特別な存在と見なされるようになってしまいました。

こうした近世以降の物質文明の発展に並行して、神秘主義思想が広がりを見せるようになりました。特に19世紀半ばに興った“スピリチュアリズム”によって「霊能力」に光が当てられるようになりました。スピリチュアリズムは、物質文明によって崩壊寸前に至っていた霊的文明を復興していきました。霊能者を通じて奇跡的な「心霊現象」を引き起こし、霊能力の存在を近代知性人に認めさせていったのです。人類の霊能力に対する認識は、スピリチュアリズムの登場によって根本から大きく変化することになりました。

霊界からの導きの中で、一定の霊性レベルに至った人間やカルマが切れて霊的真理を受け入れられる時期がきた人間に、真理が伝えられるようになります。そうした人間が一人、また一人と増えることによって“スピリチュアリズム”は地球上に普及し、人類全体の霊性が少しずつ向上していくようになります。今後は時の経過とともに、霊的真理の光が地球全体を照らし始め、徐々に明るい世界が出現するようになっていきます。何百年、何千年か後には、スピリチュアリズムの「霊的真理」が地球人類にとっての常識となります。

当然そこに至るまでには、間違った教義に基づく従来の宗教は自然淘汰され、また唯物主義も自然消滅し、神や霊界への信仰が地球人類にとって当たり前のものになっていきます。霊界では、最下層の幽界においても神の存在や神の摂理に対する理解が進み、特に「利他性の法則」は常識となっていますが、何千年か後の地球も現在の幽界に近い状況になっているはずです。以上は今後、地球人類全体がたどることになる霊的歩みの概要です。人類が長い間、求め続けてきた“地上天国”は、こうして確立されていくことになるのです。

21世紀の現在は、地球人類が本格的な霊性進化の道を歩み始めたところです。「物質第一主義（物欲主義）」と「利己主義」に支配されてきた地球人類の歴史を振り返ると、これから地球は、本当にそのように変わっていくのだろうかと疑問を持たれるかもしれません。しかし何百億という高級霊を総動員した組織的働きかけによって、従来の常識では想像もつかないような根本的変化が、確実に地球上に展開するようになるのです。今は遠い将来に向けて、人類の霊性進化の歩みが始まったところなのです。

世間では“2012年に地球上に大変化が起きるかもしれない”との予言（？）が、まことしやかにささやかれています。しかし地球ならびに地球人類の根本的変化が、2012年という限定された時に起きるようなことはありません。地球上の最大の変化は“スピリチュアリズム”の地上展開が始まった19世紀半ばにすでに達成されており、今後のスピリチュアリズムの普及にともない“霊的大革命”が継続的に進展していくようになるのです。

スピリチュアリズムによって地球人類の霊性は、ゆっくりではあるけれども着実に向上していくようになります。人類の霊性は、100年後には間違いなく今より進化しています。そして200年、300年、500年、1000年という時の経過とともに、さらに進化・向上していくことになります。遠い将来の地球人類の霊的状況は、21世紀に生きる私たち現代人からは、想像もつかないようなものになっているはずです。

さて、未来においては地球人類全体の霊性が向上しているということは、未来の人類は現代人よりずっと霊界人に近くなっている、ということを意味します。肉体という物質の身体をまとって地上で生活することは未来の人間にとっても変わりませんが、その内面性、すなわち精神性は、現代人と比べて格段に高まっているのです。

こうした流れの中で、地球上では時間とともに「霊能者」の数が増えていくようになります。いずれ地球人類の多くが霊能者になる、という時代を迎えることになります。現在では、霊能者は全体のごく一部分にすぎませんが、何千年か先には、それはごく当たり前の存在・多数派となるのです。そして大半の地球人類が「霊能力」を用いた日常生活を送るようになるのです。

「霊能者とか霊媒と呼ばれている人が進化の先駆けであることに、疑問の余地はありません。進化の梯子の一段上を行く、いわば前衛です。そのうち、心霊能力が人間の当たり前の能力の一部となる時代がきます。地上人類は今、精神的発達の段階を通過しつつあるところです。このあとには、必然的に心霊的発達の段階がきます。」

「その中にあって、時たま一足跳びに進化するものと後退するものとが出てきます。先駆けと後戻りが常に存在します。天才はその先駆けに当たります。これから何十世紀あるいは何百世紀かのちには、地上の全人類が、程度の差こそあれ、今の天才と同じ段階まで発達します。天才は言わば人類進化の前衛です。」

時の流れとともに霊能者の数は増加していきますが、その背景には言うまでもなく、霊界からの一貫した働きかけがあります。霊界人は、地上に天国（「霊的真理」に基づく霊的同胞世界）をつくるまで救いの手を緩めることはありません。その働きかけが人類の霊性の向上を促し、地球上に優れた霊能者を次々と輩出させることになるのです。

これまで霊界人は、地上の霊能者の中から可能なかぎり優れた人物を選んで自分たちの道具に仕立て上げようとしてきましたが、現実には道具に相応しい者がほとんどいないため、たいへんな苦労を味わうことになりました。しかし地球人類全体の霊性が向上し、霊能者の数が増えるにともない、そうした状況は変わっていきます。霊能者が至るところに存在するようになるため、優れた霊の道具を確保するのにさほど苦労しなくてすむようになるのです。その結果、霊界から地上世界への働きかけは、それまでとは比較にならないくらいスムーズになっていきます。

「我々は霊能者をあくまでも“道具”と見なし、道具として大切にしますが、決して他の一般の人々より特別に扱うわけではありません。したがって体質的に霊的教訓の通路として役立つと見た時は、どの霊能者でも利用します。が、それも現段階での話です。いずれ人類が進化して優れた霊能者が続々と輩出するようになれば、体質だけで選ぶことはなくなり、精神的・道徳的に霊性の発達した霊能者を選ぶようになるでしょう。」