霊能力を獲得したいと思えば思うほど、霊能力は遠ざかる

スピリチュアリズムにおける霊能力開発の主な方法は“瞑想”です。瞑想法が霊能力開発訓練の中心です。とは言っても瞑想は、本来は霊能力を開花させるために行うものではありません。それは自らの霊的意識を引き上げ、より神に近づこうとする努力（霊的活動）の一つなのです。その意味からするなら、霊能開発のための訓練として瞑想をすることは邪道と言えます。事実、霊能開発を目的として瞑想に没頭してきた多くの修行者や信仰者が、瞑想のゆえにエゴ的な心を拡大し、野心を膨らませ、人生を棒に振ることになりました。

瞑想に臨むに際しては“霊能力を獲得したい”といった思いがあってはなりません。高い霊的意識を維持するために瞑想を日課として続けてきた人には、霊能力がほしいというような思いはないのが普通です。ところがそうした人に、ある日突然、霊能力が発現するようになるのです。一方“霊能力を獲得したい”との思いから瞑想に取り組んできた人間の場合には、邪心が霊能力の発現を妨げ、なかなか開花しません。「霊能力など、あってもなくてもどちらでもいい、それよりも自分の心を高めることの方が大切である」との姿勢を持っている人ほど、結果的に霊能力が身につくようになるのです。

この事実は――「霊能力を得たいと考えるなら、霊能力に関心を持たない方がよい」ということを意味します。まさに“パラドックス（逆説）”になってしまいますが、霊能力を獲得するためには霊能力を身につけることを諦めるか、忘れてしまうのがよいのです。霊能力の獲得に意識を向けるのではなく、穏やかで澄み切った心・喜びに満ちた高い霊的意識を少しでも長く維持したいと願うことなのです。

霊能力獲得の熱意を「心の向上の努力」へと切り替える

霊能力開発のための修行について突き詰めて考えてみると――「霊能力の獲得は諦めるのがよい」という逆説的な結論に至りました。しかし、これが真実なのです。霊能力に執着するのではなく「人間としてもっと霊的に向上したい、価値ある崇高な人生を送りたい」と願うべきなのです。結局、スピリチュアリストとしてのきわめて当たり前の常識的な生き方に落ち着いてしまいました。

スピリチュアリストは、常に信仰の原点・本質に立ち戻って自分の生き方を考えなければなりません。地上人生の目的は「霊的成長」にあると位置づけし、瞑想をそのための一つの手段と考えるとき、瞑想に真の意味での重要性が付け加わることになります。瞑想がスピリチュアリストにとっての大切な実践項目になるのです。より高い霊的心境を求めて瞑想に励むことによって、「霊能力獲得」のための瞑想から「霊的成長」のための瞑想へと、瞑想自体がレベルアップするようになるのです。

そうした高次元の霊的営みである瞑想は、人間の意識（魂）を混沌とした物質的世界から抜け出させ、霊的静寂の中へと導いてくれます。瞑想によって霊的静寂の雰囲気を体得した人間は、そこに最高の安らぎがあることを実感するようになります。瞑想を通して霊的意識が深まるにともない、身体感覚がなくなり、自分が宇宙の中に溶け込んでいくような体験をすることもあります。心の次元でのサイキック心霊現象が発生するようになるのです。一度でもこうした体験をすると“瞑想”そのものが大きな喜びとなり、「霊能力など、もはやどうでもいい」と思うようになります。そうなったとき、いつの間にか「霊能力（身体レベルでのサイキック能力）」が身についていたことを知るようになるかもしれません。

自然発生する霊能力・超能力

霊能者の素質を持った人間が、深い瞑想のともなった霊的人生を送るうちに「霊能力・超能力」が自然発生するようになります。霊的成長を求める歩みの中で少しずつ霊的感性が研ぎ澄まされ、敏感に働くようになるのです。そしてそれと同時に「霊能力の開花」を自覚することになります。

「霊視能力」が発現した場合には、地上人の肉体次元のオーラ・半物質次元のオーラが見えるようになります。人によっては薄ぼんやりと、霊体やチャクラが認識できるようになることもあります。霊体の状態が視覚的に分かるようになるのです。しかしこの段階は、まだサイキック・レベルの霊視力（透視力）であって、霊界の霊の姿を見ることはできません。その後、霊的に向上してスピリチュアル・レベルにまで至ると、霊界の人々の助けを借りて「霊界（幽界）の様子」や「霊の姿」を認識することができるようになります。

一方「霊聴能力」の場合には、初めは霊的な雑音が聞こえたり、通信音のようなものが聞こえるようになります。物質世界にはない音が聞こえるようになるのです。この段階がサイキック・レベルの霊聴力の発現ですが、そこからさらに向上して霊界の人々の援助を得られるようになるとスピリチュアル・レベルの「霊聴能力」が発現し、「霊の声」や「霊界の音楽」を聞くことができるようになります。

霊的指導者を通しての霊能力の開花

優れた霊的指導者は、霊能力発現の時期を迎えている訓練者に対して、霊的エネルギーを注ぎ入れることによって「霊能力開花」のきっかけをつくることができます。霊性の高い霊的指導者が、訓練者の眉間に手をかざして霊的エネルギーを注入すると、その霊的刺激によって霊体から肉体へのエネルギーの通路が大きく開かれるようになります。そして突如、さまざまな「サイキック能力」が発現するようになります。またスピリチュアル・ヒーリングを受けた際に、ヒーラーによって流された霊的エネルギーが霊体から肉体へのエネルギーの通路を拡大し、霊能力発現のきっかけをつくることもあります。

一方、自分にヒーラーとしての素質があり、それが開花する時期がきていることを霊能者から教えられ、スピリチュアル・ヒーラーとしての道を歩み出すようになる人もいます。霊的指導者や霊能者の指摘によって霊能力・ヒーリング能力があることを自覚するようになるケースは、かなり多いのです。