前章（３）では「霊能力開発」について見てきました。世間で行われている霊能力開発のための訓練・修行が、いかに的外れで間違っているのかを、よく理解されたものと思います。これまで多くの人間が、きわめてエゴ的で低俗な動機から、あるいは霊的無知（＊霊能力を持つことが“悟り”を得ることであるといった間違った考え方）から、霊能力の獲得を目指してきました。

霊能者としての素質のない者が、無理をして不自然な霊能開発に走ることは“百害あって一利なし”です。たとえ不自然な修行方法によって霊能力・超能力が発現するようになったとしても、人間にとって一番大切な霊的成長・魂の向上を犠牲にし、せっかくの地上人生を台なしにしてしまうことになります。また“低級霊”の格好のターゲットとなって新たなカルマをつくり出し、死後には筆舌に尽くしがたい後悔の念に苛まれるようになります。

一方それとは別に、地上へ再生するにあたって「霊能者」になることを決意している人間がいます。本来“霊的修行”とは、そうした者が、予定されている霊能力を開発・発揮するために行うものなのです。霊能者としての素質を持った人間の場合には、“瞑想”を中心とした正しい修行方法によって内在していた霊能力が自然に開花するようになります。これが「霊能者」になる正当な道筋です。

前章では霊能力開発を通して霊能力を獲得するプロセスについて見てきましたが、ここでは霊能者になった人間が、さらにその霊能力の質を高める方法について見ていきます。スピリチュアリズムでは、単に“霊能力を持っている”というだけでは評価はしません。「良き霊能者」であって初めて霊的価値を認めるのです。霊能者は、内在していた霊能力を発現させるだけでなく、その質を高めてこそ「真の価値」を有するようになるのです。

本章の重要な内容になりますが、世間一般にいう霊能力（サイキック能力）は、スピリチュアル・レベルにまで引き上げなければなりません。そのためには「霊的法則」にそった霊的修行が必要となります。これまで「霊的真理」を知らなかったために、大半の霊能者は霊的に低い次元、単なるサイキック能力のレベルにとどまってきました。あるいは間違ったスピリチュアル能力を身につけるような結果を招いてきました。

この章では「霊能者論」の最も本質的な内容と、霊能力の質を高めるための“霊的修行”について見ていきます。