常に“心の修養”が必要とされる霊能者

本物のスピリチュアル霊能者になるためには“心の修養”が欠かせませんが、それは霊能者になってからも、地上人生を終えるまでずっと続けていかなければなりません。霊能者である前に、一人の人間として霊的に向上していくことを常に優先しなければならないのです。シルバーバーチは――「こうした霊界との協調関係の中での仕事に携わっておられる人でさえ、ややもすると基本的な義務を忘れ、手にした霊的知識が要求する規範にかなった生き方をしていらっしゃらないことがあります」（『霊的新時代の到来』・スピリチュアリズム普及会・p139）と述べています。

霊能者という立場には誘惑も多く、簡単に「肉主霊従」の状態に陥ってしまいます。いつの間にか我欲の虜となり、“低級霊”の支配下に入ってしまうようになります。他人には霊的真理を語り、愛の大切さを強調しながら、霊能者自身が低級霊の道具に成り下がってしまっているという現実を、しばしば目にします。霊能者には、一般の人以上に厳しい“心の修養”が要求されるのはそのためです。

シルバーバーチは――「それ（※真理の伝道）に劣らず大切な目標は、霊的能力を授かっている人たちがその能力を正しく開発し、仕事の神聖さを自覚し、日常生活においても、最大限の霊力が自分を通して流入するように、身持ちをきちんとすることです」（『古代霊シルバーバーチ　最後の啓示』・ハート出版・p167）と述べています。さらには――「霊能者と呼ばれている人が、常に心の修養を怠ってはならない理由はそこにあります。霊的に向上すれば、それだけ仕事の範囲が広がって、より多くの価値ある仕事ができるようになります。そのように法則ができ上がっているのです」（『霊的新時代の到来』・スピリチュアリズム普及会・p164）とも語っています。

霊能者には、常に「厳しい心の修養・霊主肉従の努力」が求められます。それを忘れて心霊的な活動だけに夢中になると、決まって「肉主霊従」の状態に陥り“低級霊”に翻弄されるようになってしまいます。

霊能者が持つべき精神とは「道具意識」と「犠牲精神」

霊能力は、神によって与えられた崇高で特殊な能力です。それは人々を驚かせたり、人々の注目を集めたり、この世の利益（富・名声・権力）を得るために使用されるようなことがあってはなりません。霊能力は、地球人類の救いと霊的成長という最も重大な目的のために与えられたものなのです。インペレーター霊は――「霊的存在である人間が霊的影響力の流入口を開く――それが霊媒能力です。あくまでも霊的な目的のために使用しなければなりません。営利目的のため、単なる好奇心の満足のため、あるいは低劣で無意味な目的のために使用してはなりません」（『続霊訓』・潮文社・p123）と述べています。

霊能力は、霊能者個人の利益のために与えられたものではなく、人類のために与えられたものなのです。人類のために霊能力を用いるということは、人類を救済しようとしている高級霊の軍団のために用いるということに他なりません。すなわち“スピリチュアリズム”を進める霊界の人々の道具となって働くとき、与えられた霊能力は自分のためではなく、人類全体のために用いられることになるのです。スピリチュアル霊能者の質は、これまで何度も述べてきたように「どれほど純粋に霊界の道具に徹しきれるか」という点において決定されます。

霊界の道具に徹する精神「道具意識」は、神が定めた摂理の中で最も重要な「利他愛」を、より純化させたところに生じるものです。その道具意識に「犠牲精神」が加わることによって、さらに純度が高まることになります。利他愛に無私無欲の要素が加わって道具意識となり、そのうえに自発的な犠牲的要素が加わることによって道具意識はいっそう高められ、純粋度が増していくのです。「道具意識」と「犠牲精神」は霊能者に、「謙虚さ・無私無欲の奉仕精神・霊界に対する絶対信頼・穏やかさと明るさ・寛容性・受身性と積極性の調和」といった優れた信仰的人格をもたらすことになります。

霊能者が持つべき精神とは――「自己犠牲のともなった霊界の道具としての意識」に他なりません。道具意識と自己犠牲精神を高めていくことが、本物のスピリチュアル霊能者になるための道なのです。では、そうした「真の道具意識」とは、具体的にどのような内容から成り立っているのでしょうか。

以下では霊能者が持つべき精神（道具意識）を、実践的な観点から列挙していきます。

霊能者が持つべき精神〈１〉――自分自身をＰＲしない

霊能者は、霊界の大軍団の一兵士・霊界の道具である以上、自分自身のことを自慢したりＰＲするようなことがあってはなりません。この世の人間は、自分の能力や知性を自慢したり、自分が善人であることを盛んに周りの人々に知らせようとします。しかし霊能者は“スピリチュアリズム”を推進する霊界の大軍団とそれに携わる高級霊たちについてＰＲしても、自分の知名度を高めようとしてはなりません。ただスピリチュアリズムの知名度を高め、霊界の軍団の実績を伝えようとすべきなのです。自慢するのはスピリチュアリズムと霊界の高級霊たちについてであって、自分自身のことではないのです。

霊能者は、自分が有名になろうとしてはなりません。この意味で霊能者は、この世の政治家やタレントとは正反対の立場にあります。政治家やタレントは世間の評価と人気を求めますが、霊能者はこの世の人間ではなく神と高級霊の評価を求めなければなりません。霊能者は、地上において誰ひとり理解してくれる人がいなくても、高級霊だけが真実を分かってくれればよい、というところで心を治めなければなりません。

霊能者が持つべき精神〈２〉――霊能力を利用してこの世の利益を求めない

地上世界の多くの人間が、自分自身や自分の家族の利益を優先的に求めています。そして物欲・名誉欲を追求し、その欲望を達成するために“金儲け”に奔走しています。大半の人々が、しょせんこの世は“カネがモノを言う世界”だと思い込んでいるのです。残念ながら霊能者も例外ではなく、霊能力を利用してこの世の利益や名声を追求しています。

霊能力は本来、人類の霊的成長と永遠の幸福のために与えられたものであり、霊能者自身が利益を得るために与えられたものではないのです。霊能者が求めるべきものは、常に「人類全体の霊的成長と幸福」であって、そのために活動しなければなりません。言いかえれば“スピリチュアリズム”の発展のためだけに、自分の能力を用いなければならないのです。神によって与えられた霊能力を、この世の利益や名声を獲得するために利用することは許されません。

霊能者が持つべき精神〈３〉――人類全体のために自分自身を積極的に捧げる

霊能者は、この世の利益を得るために霊能力を利用することは許されませんが、それだけにとどまらず人類全体のため・霊的真理普及のために、自分が持っているものを可能なかぎり捧げなければなりません。自分自身は質素な生活に甘んじ、余分なお金や時間・エネルギーのすべてを、スピリチュアリズムの発展のために積極的に提供しなければならないのです。霊能者は――「自分はスピリチュアリズムのために生まれ、自分の人生はスピリチュアリズムに貢献するためにある」と自覚し、すべてをこれに費やすのです。

霊能者は常に、人類のため・スピリチュアリズムのための捨石になることを決意していなければなりません。スピリチュアリズムへの貢献と、それを通しての地球人類への奉仕が、霊能者にとってのライフワークなのです。霊能者の使命・役割は、単なるボランティア活動の一つとして達成することはできません。高級霊の組織する大霊団の一兵士として、大義のためならば、いつでも生命を捨てる覚悟を固めていてこそ達成できるものなのです。

霊能者が持つべき精神〈４〉――正しい動機（利他愛）に基づいて全力を尽くす・ 見返りを期待しない

霊能者の仕事は、地球人類の「霊的成長」と「霊的救い」のためにありますが、それは現場においては、見返りを一切求めない無償の奉仕・利他愛の実践となります。スピリチュアリズム運動は、イエスと高級霊主導による、まさに無私無欲の完全な利他愛からの救済活動なのです。

そのスピリチュアリズムを進めるために組織された霊界の大軍団の一員である霊能者には、当然のこととして純粋な利他愛の実践者として歩むことが求められています。霊能者は高級霊に倣って、地球の同胞の霊的向上・魂の救い・永遠の幸福のために全力を尽くさなければなりません。「地球人類救済の大計画」を進展させるために自分の大切なもの（人生・家族・利益）を犠牲にし、何ひとつ見返りを期待しない生き方が真の霊能者としてのあるべき姿なのです。

霊能者が持つべき精神〈５〉――霊界の導きを信じて委ねる・一人で焦らない

霊能者は、霊界の大軍団の一兵士であり、スピリチュアリズム運動を主導的に進めているのは霊界の本隊です。霊能者やスピリチュアリストは、地上の足場・霊の道具として自らを提供し、霊界の人々に使ってもらう立場にあります。

したがってたとえ思い通りに計画が進んでいかないように感じられても、決して焦ったりしてはなりません。スピリチュアリズムの大計画を進める主役は霊界のイエスと高級霊たちであって、地上の霊能者やスピリチュアリストではないのです。地上の霊能者やスピリチュアリストに期待されているのは――「正しい動機（人類の救済）と正しい方向性（利他愛）を持って精いっぱい努力すること」だけなのです。できるかぎり努力するだけでよいのです。もし焦るようなことがあるとするなら、それは霊界の主役（高級霊）の導きを信じていない、ということです。霊能者には、すべてを霊界の導きに委ねる中でその道具として全力を尽くすことが求められているのです。

霊能者は、霊界の導きに対して“絶対的な信頼”を寄せていなければなりません。常に霊界の導きを信じて委ね、ゆったりと歩まなければなりません。「霊界の道具」としてベストを尽くすことが、一番良い結果をもたらすことになるのです。