霊能者の“煩悩”とは？

霊界から見ると、地上の大半の霊能者はあまりにも霊的に未熟です。そして多くの人間的弱さと煩悩を持っています。地上の霊能者の95パーセント以上がニセモノか霊的価値のない者ですが、その原因は霊能者自身の「霊性の低さ」と「人間性の未熟さ」にあります。霊性の低さと人間性の未熟さによって「肉主霊従」の状態に陥り、心は肉体本能の欲望に支配され、この世の富や快楽の追求に走るようになってしまっているのです。こうした「肉主霊従」から発する本能的快楽への渇望状態が“煩悩”の正体です。

“煩悩”という言葉は、古来より宗教においてしばしば用いられてきましたが、それは心が肉体本能に支配され、神の摂理から外れた方向を指向するようになってしまった状態を言います。本能的快楽を優先して求める心の状態のことなのです。その本能的快楽とは、具体的には金銭欲（物欲）・名声欲・権勢欲などの欲望を満たすことです。したがって“煩悩”とは――「金銭・名声・権勢というこの世の富や利益をむさぼり求める心」「私利私欲を満足させようと渇望する心」と言えます。

“煩悩まみれ”の霊能者たち

霊能者になりたいと願う人の多くが、その出発点ですでに根本的な間違いを犯しています。これまで学んできたように霊能者は、「霊界の道具」として人類の霊的成長・霊的幸福のために自らの人生を捧げる人間でなければなりません。当然のこととして霊能者は、「無私無欲の奉仕精神」「自己犠牲の精神」から出発しなければなりません。霊能者とは人類に対する奉仕者以外の何者でもない以上、常に純粋な奉仕精神に徹して、人類全体のために犠牲の道を歩んでいかなければならないのです。

ところが残念なことに、こうした高尚な志を持って霊能者としての道を出発している人間は、ほとんどいません。それどころか大半の者が、正反対の動機から霊能者やヒーラーを目指しているのです。“自称霊能者”の多くが、自分自身の利益のため、あるいは自己の欲望を満足させるために霊能者としての道を選択しています。エゴ的な動機から霊能者になろうとしているのです。そうした霊能者の実態は、まさに“煩悩まみれ”という一言で言い尽くされます。ほとんどの霊能者が煩悩に流され、堕落しきっています。

以下では霊能者の“煩悩”の具体例を見ていきます。

霊能者の煩悩〈１〉――「注目されたい病」「有名になりたい病」

霊能者やヒーラーを志す人間の多くが、心の中で“大衆から注目されたい、有名になりたい、人気者になりたい”と切望しています。その思いが霊能者を目指す動機となっているのです。それはタレントや歌手などが、世間の人々の注目を集めて有名になりたいと願っているのと同じことです。大衆の受けや注目度・人気度が、タレントや歌手に対する評価を決定します。成功したタレントや歌手は、大衆から注目を浴びることで、言葉にできない快感の虜（とりこ）になっていきます。大勢の人間の関心を集める刺激的快感に酔いしれ、中毒状態に陥っていきます。

霊能者も有名になることによって、こうした優越心に由来する本能的快楽の中毒になってしまいます。いったんその本能的快楽に陶酔するようになると、霊的感性は根底から崩れ去ってしまうのです。これが“煩悩”に翻弄されている霊能者の実状です。そうした霊能者の霊性は、本物の霊能者とは天と地ほどに隔たっています。

「すべてを見通している神や高級霊に認められるなら、この世の人間に理解されなくてもいい」「大衆から注目されたり、立派だと思われたり、感謝されなくてもいい」――これが神の道具である霊能者が持つべき心境です。しかし“煩悩まみれ”の霊能者の多くは、それとは正反対の考え方をしています。神と霊界を中心とする生き方ではなく、この世の名声・人気を求め、自己の本能的欲望を真っ先に満たそうとしています。大半の霊能者が、物質的・本能的快楽の刺激に病みつきになっているのです。

霊能者を志望する人間のほとんどが、「大衆から注目されたい病」「有名になりたい病」に感染しています。

霊能者の煩悩〈２〉――「偉くなりたい病」「崇拝されたい病」

有名になった人間の周りには多くの人々が集り、その人間を特別視するようになります。人々から特別視されることで本人は、いつの間にか自分が偉くなったかのような錯覚・優越心に支配されるようになります。自分を取り巻く人々が信奉者・崇拝者となって思い通りに動くようになり、それが本人にとって、たまらない陶酔感・本能的快感を与えることになります。いったんこの快感を味わった者は、破滅状態が一方的にやってこないかぎり、もはやそこから抜け出せなくなります。こうした優越心をくすぐる陶酔感が、この世の多くの政治家・経営者・企業家・宗教家の心を支配していることは、今さら言うまでもありません。

霊能者として成功（？）することによって人々から持ち上げられ、信奉者・崇拝者・ファンに取り囲まれるようになります。霊能者としての成功が、何十万、何百万という信者を抱える教祖の道を可能にすることもあります。そこまでいかなくても少々有名になるだけで、何十人、何百人というファンが集まるようになります。この世では出世もできず誰からも尊敬されなかった人間であっても、霊能者として成功すれば著名な政治家や経営者に匹敵するカリスマ性を確立し、大衆を操る快感を味わうことができるのです。

こうした「偉くなりたい病」「人々から崇拝されたい病」に突き動かされた多くの人間が、霊能者の道を目指しています。

霊能者の煩悩〈３〉――「金持ちになりたい病」

霊能者としての成功は、“金持ちになってリッチな生活を送りたい”という夢を叶えてくれることになります。霊能者には、誰もが願う金持ち・セレブという夢を実現させる可能性があります。世間で評判の占い師や易者・霊能者のところには連日多くの人々が押しかけ、いとも簡単に金儲けができるようになります。霊能者として有名になると、相談者から感謝・尊敬され、わざわざ人集めをしなくてもどんどん宣伝してくれるようになります。それほど苦労をしなくても大金が転がり込んでくるのですから、世の中にこんなうまい儲け話はありません。まさに霊能者というのは、金持ち志向の人間・簡単に大金を手にしたいと渇望する人間にとって、実に魅力的な職業なのです。

こうした「金持ちになりたい病」から、多くの人間が霊能者としての道を歩んでいます。