６）差別化を目論む霊能者の、さらに悪質な堕落行為
――差別化のためにスピリチュアリズムの霊的知識を悪用する“ペテン霊能者”の登場
ペテン師の手口は、社会の監視が厳しくなったり人々が用心深くなるにともない、さらに手の込んだものになっていきます。“ニセ霊能者”の場合もこれと同じで“人騙し”の手口はますます巧妙化していき、見破るのが難しくなります。
ここではそうした“ペテン霊能者”の最も狡猾な手法について見ていきます。
差別化をはかる霊能者・ヒーラーたち
あちらこちらで占い師や風水師・占星術師が乱立するようになると、業者間の競争が激化し、経済的に苦しくなる人間が現れるようになります。霊能者やヒーラーの間でも激しい競争が展開され、客の奪い合いがなされるようになります。年々、新しい霊能者やヒーラーが登場する時勢にあっては、他の霊能者やヒーラーとの差別化をはかることがどうしても必要となるのです。現在では、「自分は他の霊能者よりも霊能力が優れている」「自分のヒーリングは他のヒーラーよりも治癒率が高い」といった宣伝が、至るところで見受けられるようになっています。
霊能者やヒーラーたちは、自分の霊能力の優秀性をいかにＰＲするかに苦心しています。インターネットを少し眺めるだけで、そうした霊能者やヒーラーの実状が手に取るように伝わってきます。情報が自由に行き交うネット時代においては、自分をいかに差別化してＰＲするかが、霊能者としての成功・不成功を決定することになるのです（＊言うまでもなく、ネット上で自己ＰＲに走っている霊能者の大半が本物ではありません）。
必死に自己の卓越性をアピールし、できるだけ多くの客を獲得しようとしている霊能者やヒーラーの姿は、私利私欲に駆られて違法な経営を続ける悪徳業者によく似ています。霊能者やヒーラーたちは、商業主義の中で生き残りをかけて激しい競争を展開しています。お金と人気を獲得しようとして、しのぎを削っているのです。そうした中で、一部の目敏（めざと）いニセ霊能者・ペテン霊能者は巧妙に差別化をはかり、成功を収めることになります。
“究極の差別化”――霊能力・道徳的教訓・霊的知識の３点セット
激しい競争の中では、これまでのような単純な自己ＰＲだけでは大衆を惹きつけ騙し続けることはできません。また下手なウソでは、皆から見透かされ相手にされなくなってしまいます。これからの“ニセ霊能者”は、従来のような霊能力や治癒率のＰＲだけではやっていけなくなります。すぐに見破られるようなウソでは通用しなくなります。一般大衆を騙すポイントは、小さな差別化ではなく“大きな差別化”をはかることです。それなくしては大きな成功（？）を達成することはできません。大衆の心を強力に惹きつけて離さないような特別な差別化が必要となるのです。
こうした中で、大胆な差別化の必要性を認識した狡猾な“ペテン霊能者”が新たに用いる手口が「霊能力のＰＲと道徳的教えに、これまで誰も知らなかった霊的知識を付け加える」というものです。「霊能力・道徳的教え・専門的な霊的知識をセットにする」ということです。実際には大した霊能力がなくても、さも卓越した霊能力があるかのように自己ＰＲし、それと同時に道徳的教訓・正しい生き方を説き、さらに霊的知識を用いて霊的世界や心霊現象についての詳細な解説をするのです。この「霊能力・道徳的教訓・霊的知識の３点セット」は、まさに究極の差別化の手法で、たいていの人間は間違いなく騙されることになります。一般大衆はその霊能者を本物と認め、人間的にも知性的にも優れた霊能者であると信じ込むようになります。
ここにおいて他の霊能者との差別化が完全に成功することになります。他の霊能者がどんなに上手に自己ＰＲをしても、ずる賢いペテン霊能者にはとうてい太刀打ちできません。
将来の“ペテン霊能者”の姿とは？
今後、スピリチュアリズムが世界中に普及し「霊的真理・霊的知識」が地球人類の間に行きわたるようになると、霊的知識がない霊能者やヒーラーは自然淘汰されていくことになります。昔ながらの時代遅れの死生観や死後観を説く伝統宗教が、現代人（＊特に若者）からそっぽを向かれているように、霊的知識がない霊能者は見向きもされなくなっていきます。これからの時代においては、スピリチュアリズムがもたらした「霊的知識」を知っていることが、霊能者としてやっていくための最低条件になります。スピリチュアリズムの霊的知識を用いて自己ＰＲをすることが、霊能者やヒーラーとして不可欠の条件になるのです。
そうした動きの中で“ニセ霊能者”の手口も、よりいっそう巧妙なものへと変化していきます。「霊能力」のＰＲは言うまでもなく、それに「道徳的教え」とスピリチュアリズムの「霊的知識」を加えた3点セットが、ペテン霊能者にとって欠かせない常套手段となるのです。これから現れるニセ霊能者・ペテン霊能者は、現在のニセ霊能者たちとは比べものにならないほど巧妙になり、本物との見分けがつきにくくなります。
しかし、どんなに巧妙な“人騙し”の手口を用いて本物を装ったとしても、しょせん“ニセモノ”はどこまでいっても“ニセモノ”でしかなく、決して本物にはなり得ません。いっとき無知な大衆を騙すことはできても、ウソは時間とともに暴露されていくようになります。羊の皮をかぶった狼も、いつしかその正体がばれてしまうように、金メッキは時間とともに剥がれ落ちニセモノの正体を現すようになるのです。